「あるがままにプレー」なのに球に触れることがある矛盾を解説

オールドコースNo.17~砂利道から打つ トピックス
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ゴルフルールに「ボールはあるがままにプレー」というのがあります(規則9)。簡単に言うと「一度、フィールドに放たれたボールには触れてはいけない」というものです。

ですが、グリーン上ではマークをして拾い上げたり、カート道からの救済を受けるときに、拾い上げてドロップしたりと…

ボールに触れる機会が度々あるので「全然あるがままでないじゃん」と矛盾を感じている方も多いかと。ってことで解説していきます。

遡ることゴルフ草創期。まずは想像してみて下さい。ここは海沿いの草ボウボウの荒野。その草を短く刈り、スタート地点を決め、ゴールには10㎝程の穴を作って準備完了。

そして、球を木の棒で叩いて飛ばし、少ない打数でゴールできた方が勝ちっていうゲームを1対1でやりましょう~これがゴルフの始まりです。

今も昔も木の棒で小さい球を叩くのは難しいことは同じで、球を拾って手で投げた方が手っ取り早いって考える人も。

いやいやいや~そんなことはこのゲームの基本理念から到底認めるワケにはいかない。球に触れることは禁止することにしよう。

これが「球はあるがままに」のルーツです。草創期は、この基本ルールで対応できたのですが、時が進むにつれてイノベーションの波はゴルフルールにも影響を与えることになります。

具体例として「道」をあげると、ただ土を踏み固めただけの「道」→小石を敷いた「砂利道」→そして「舗装道路」と進化。

土の「道」は、そのまま打ってもクラブを損傷することは低いですが、「舗装道路」からは、あるがままに打つととても危険。怪我するリスクもあるし…。

このような理由で「舗装道路」などの人工物からは無罰で救済が受けられることにしましょう~って後発でルールを改めることに。

そして、救済のニアレストポイントにドロップすることにしようって決めたのですが、その際にボールを拾い上げることは不可避

この時点でボールに触れることになるのですが、規則で…

9.1a 球が止まった所からプレーする

コース上に止まっているプレーヤーの球はあるがままにプレーしなければならない。ただし、規則がプレーヤーに次のことを要求している、または認めている場合を除く。
・(救済などで)そのコース上の別の場所から球をプレーすること。
・球を拾い上げ、その後でその球を元の箇所にリプレースすること

という一文によって、ボールに触れることは(規則で)認められることにしましょう~ってことにしました。

なので当然のことながら「舗装道路」の上にあるボールを「あるがままにプレー」しても構いませんし、無罰救済を受けることもできます。

ちなみに先述した「土を踏み固めただけの道」は人工的に作られた物ではないので救済は受けられません。

では「砂利道」はどうでしょう。こちらは小石(ルースインペディメント)を取り除くことはできますが「舗装道路」からのような無罰救済は受けられないとのこと。

これで有名なのは、聖地セントアンドリュース オールドコース No.17 グリーン右側の砂利道。全英オープンではトップレベルの選手がこの砂利道から救済なしでアプローチする姿が拝めます。

「球はあるがままにプレー」の精神はここにあるのですね。