この(写真の)ようなパターがあるのをご存知でしょうか。当然、適合クラブですので、競技で使用しても規則違反にはなりません。但し、2024年1月1日から使用方法に注意が必要です。
そもそもなぜ?こんなパターを思いついたのかって。それはこの「自立」ってところに、とてもメリットがあるからです。
ゴルフ攻略法の一つであるパッティングは、パターのフェースを狙った箇所へ正確にセットできるかが鍵。
これが毎回できたら自信を持ってストロークできるのですが…。ってこれを限りなく実現可能にしたのがこのパターです。
具体的な使用方法は、パターをボールの後ろに自立させます。この状態でプレーヤーは後方に回り込み、フェースの向きを微調整してラインに合わせます。
そしてこのセットしたパターを基準にアドレスして、あとはストロークするだけ。フェース面がターゲットを向いているという安心感で、カップイン確率がアップ‼
っていうのがこのパターのセールスポイントなのですが、そんな良いことだらけの”自立式パター”に、ルール的にどうなの?ってことで待ったが入りました。
規則10.2b(3)に「目標を定める、スタンスをとる、スイングすることを援助するために物を置いてはいけない」に抵触しているのではないかと。
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自立式パターは、2021年頃から市場に出てきたと記憶しています。そうなると構想・開発はそれ以前。
R&A(用具の審査を行う組織)に、自立するパターを作る旨を申請し、用具審査料(£120)を支払い、試作を重ね、厳しい構造規格や、ゴルフ精神に則っているかどうかまでを精査されます。
これらをパスして認可された後、製造・販売となるのですから、新しいアイデアの商品を世に出すまでは、それなりの時間とコストが掛かります。
ひとたび市場に出てしまったら、ルール的な問題が指摘されたからといって、R&Aがお墨付きを与えてしまっているのですから、簡単に撤回・回収するわけにはいきません。
何よりも威厳と信頼に関わるし…もう一つは市場に出回って、たった2年で禁止にするのはどうなの?など、製造メーカーやパター購入者への配慮が必要。
もう一つの理由として、1990年頃に「PING EYE 2」サンドウェッジのスピンが効きすぎるということで、溝規制を実施したところ、メーカー側から措置の不当性を訴えられて敗訴。
この苦い経験からゴルフ用具に関するルール変更には慎重となり、必ず移行期間(激変緩和措置期間)を設けて訴訟沙汰を回避するようになったとか。
そういう経緯で『アラインメントを援助するための自立式パターの使用は認められない』というルールは2025年1月1日から施行することになりました。
つまりその日までは、球の直後やすぐ近くにそのパターを立たせるという使用方法をしてもOKです。
とどのつまり、2024年1月1日以降は用具規則で使用はOK、使用方法のアライメントとして「物を置く」ことは禁止というルールに抵触するので注意が必要ってことです。
10.2b(3) 他の援助 「物を置く」は、物が地面に接していて、そのプレーヤーがその物に触れていないことを意味する。プレーヤーがこの規則に違反した場合、ストロークを行う前にその物を取り除くことによって罰を免れることはできない。 規則10.2bの違反の罰:一般の罰(2罰打)。
このように新しい解釈が、しれーっと成文化されています。最もポピュラーなのが、クラブをアライメントのために「置く」と、この時点でアウト~2ペナです。
あくまでも自立式パターを「置く」という使用方法は、2024年12月31日まで認められる超法規的措置なのです。
この期限までにツアーのトッププレーヤーが、自立式パターを使って優勝や活躍することがあるかもしれませんw
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