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ゴルフは、1つのボールをティーイングエリアから打って、あるがままの状態を受け入れながら、そのホールのグリーンにカップインすることで成り立っています。
それを18ホール繰り返すことで1ラウンド終了となり、合計打数で競い合うというのが大原則。
と、まぁここまでは良く言われることなのですが…ノータッチ、ボールに触っちゃダメなどと「あるがままの状態」で打つとは言うものの、暫し不可能になる状況になりませんか?
例えば、ボールが見つからなくなったり、隣の敷地に飛んで行ったり、木の上に乗っかたり、はたまた深い谷や池のど真ん中に打ち込んだり…
こんなことが起きてしまっては「1つのボール」を「あるがままの状態」でプレーを進めることは難儀。どうしましょう~解説します。
ANSWER
※この先はゴルフの起源をベースにしていますが、ルールってこうやって作られるんだなぁ~っていう架空の話です。
まずは想像してみてください。ここは200年前の広大な河川敷です。
取りあえず畑でも作ろうとして、草刈りを始めますが、没頭して気が付いたら結構な広さに。
私:「おっ!こんな所に丸い石ころと、そこそこ立派な棒が…」
おもむろに、この棒で石ころを打つと思いのほか飛んで楽しい。しかも短く刈った草の上をコロコロとよく転がる。
私:「よし!この楽しさをトムにも教えてあげよう」
トム:「ワォ!本当だぜ。これは爽快で楽しい。ふむふむ閃いたぜ。それならこうしよう。あそこに一本の木が見えるだろ。その木に少ない打数で当てた方が勝ちだ。」
こうして始まった”棒で石を飛ばす”ゲーム。次第にエスカレートし、負けた方がお酒を奢ることになるのも自然な流れ。
そうなるとタダ酒の魅力には抗えず、ズルいことを考えるのも人間の性。棒で打つより手で投げる方が、コントロール性が高いのは当然の気づき。
この手法を封じるために、触ってはダメという”あるがままの状態”で打つルールを定めることに。
だがしかし、石ころが深い草むらや川の中に飛んで行ってしまうと”あるがままの状態”で打つのが困難。
また、紛失してしまうとプレー続行不可となり、その時点で負けが確定しまうのはあまりにも呆気ないということで協議を重ねることに。
その結果「それなら、1打の罰で前位置から打ち直しできることにしよう」と決定。
そして、ゲームを重ねていくと、石が凹みや窪地、泥の中やぬかるみにあるケースでもこのルールを適用できるように改正。
即ち”いついかなるときでも、1打の罰で前位置から打ち直しできる”と更に進化。
これが『ストロークと距離の救済』です。そうですゴルフ草創期の原始ルールです。
こうして紛失したり、プレー不可能(アンプレヤブル)や、崖下など危険エリアに飛んで行った場合は”1ペナ・打ち直し”で、プレーの連続性が維持できることに。
その後、OB・池などにも併用されるようになりました。※(池はペナルティーエリアとして別の救済方法も制定)
現ルールでは『ストロークと距離の罰に基づく救済(規則18.1)』として扱っており、プレーヤーは常にこの選択肢を持っていると記されています。
なので(ペナルティーエリア以外での)紛失球、OBは、このルールが自動的に適用されるので”1ペナ・打ち直し”となるのです。
もし、この救済ルールがなかったら、崖下まで下りて行ったり、池の中のボールをあるがままに打つ…考えただけでゾッとしますワ。
この救済ルールは便利でありがたいものです。但し、このルールには落とし穴が!これは別の機会に解説します。
規則18.1 ストロークと距離の罰に基づく救済はいつでも認められる
いつでも、プレーヤーは、1罰打を加え、直前のストロークが行われた場所から元の球か別の球をプレーすることによって、ストロークと距離の救済を受けることができる(規則14.6参照)。
プレーヤーは常にストロークと距離の救済の選択肢を持っている
• プレーヤーの球がコース上のどこにあっても。
• 規則がプレーヤーに特定の方法で救済を受けることや、特定の場所からプレーすることを求めている場合であっても。