球がペナルティーエリアで紛失したかもしれないが、コース上の他のどこかで紛失している可能性もある場合、暫定球を打つことができるか。
ここは右に緩やかに曲がっているPar4~ドライバーでのティーショットは、得意のパワーフェードでいこう。
うっ~風の計算を間違えたのか、やや曲がりが大きく、残り150ydを示す杭の先の地面に跳ねたのは見えたが、ボールの止まったところは確認できなかった。
そこで「暫定球を打ちまぁす」と断りを入れてから再びドライバーを振り抜くと、今度はキレイな軌跡を描いてベストポジションへ。
まぁ1球目はあるだろうと楽観的な思いと「最初からコレを打っとけば良かったのに…」なんてプチ反省会をしながら歩を進めていると、右サイドの景色を遮っていた木立の先には…大きな池が出現‼
この池の周辺の芝は短く刈り込まれていて、最初の球は、赤杭で囲まれたこの池(レッドペナルティーエリア)に吸い込まれたのは明らか。そして、池の水は濁っていてボールは確認できない。
さぁここで問題発生です。確か、暫定球は「紛失球」または「OB」の可能性がある場合でしか打てないハズ。
現場に行ってみたらボールは見当たらず、状況的に池に入ったのは、ほぼ確定。しかし、池の存在を知らずに暫定球を打ってしまっている…。
暫定球がインプレーとなってしまうのか。それともペナルティーエリアからの救済処置ができるのか。どっち?
ANSWER
18.3a 暫定球が認められる場合 球がペナルティーエリア以外の場所で紛失、またはアウトオブバウンズとなったかもしれない場合、時間節約のためにプレーヤーはストロークと距離の罰(規則14.6参照)に基づき暫定的に別の球をプレーすることができる。このことは次の場合を含む: ・元の球が見つからず確認できないが、まだ紛失にはなっていない。 ・球がペナルティーエリアで紛失したかもしれないが、コース上の他のどこかで紛失している可能性もある。 ・球がペナルティーエリアで紛失したかもしれないが、アウトオブバウンズとなった可能性もある。
そうなんです。『ペナルティーエリアで紛失したかもしれない』ときも、暫定球を打つことが認められるているのです。
よってこのケースは、レッドペナルティーエリアからの救済を受けなければなりません~と言うのが正しい処置となります。
かつて(2016年頃まで?)同様なケースでは、暫定球を打ってしまった時点でこの球がインプレー。池からの救済を受けることができませんでした。
たとえ池の中で自分の球が確認されたとしても、それは「紛失球」扱いとなり、暫定球を4打目としてプレーしなければならないという理不尽さを受け入れることに(泣)。
なぜそんなことになるのか?それは「紛失球」と「ペナルティーエリア」では、ルール上の絶対的な棲み分けがあるからです。
そもそも『ストロークと距離の罰に基づく救済はいつでも認められる(規則18.1)』という、いかなる場合でも1ペナで打ち直すことができるという救済ルールがあります。
なので「紛失球」となったら、自動的にこのルールを適用して「1ペナで打ち直し」の救済を受けることになります。
そうなると、現場に行って捜索時間の3分以内に見つからず、「紛失球」となってしまったら打ち直しに戻らなければなりません。
それは面倒ってことで、紛失(またはOB)となったかもしれない場合は、時間節約のため暫定的に球を打ってもOKのルールが出来たっていう経緯が。
一方「ペナルティーエリア」に入った場合は『ストロークと距離の罰』の処置の他に、入った箇所(推定でも可)を基点として『後方線上orラテラル(赤杭の場合)』の救済処置ができるという独自路線(規則17)が起草。
すなわち、池ポチャは『入った箇所を基点』⇒前から打てるので、『ストロークと距離の罰』⇒打ち直しとは一線を画すことに。
故に「ペナルティーエリア」に入った場合、暫定球を打つことは許されていません。仮に「暫定球」として打ち直しをしてしまったら『ストロークと距離の罰』を選択したコトとみなされます。
そうなると暫定球を打つには、コース上で紛失したのか、池の中で紛失したのかをはっきりさせる必要が出てきました。
その為に、該当箇所には入ったか否かを見ている「フォアキャディ」という役目の人を配置することに。
ですが、競技や試合ならまだしも、通常営業下ではフォアキャディを常駐してあることはなく、真剣勝負のオニギリでは暫しトラブルもw
それではってことでR&Aが動いた?コース管理として「ペナルティーエリア」周辺の芝生や草を刈り込むことを推奨と指示。
これで最終的にボールが止まった箇所が見えなかったとしても、その方向に池があれば、状況的に入ったことにみなせる合理的な判断材料に。
それと同時並行でファストプレーの気運も高まり、『ペナルティーエリアで紛失したかもしれない』ときでも暫定球を打つことが認められるとルールブックに成文化。
これで池に波紋が見えたり、ポチャっていう音が聞こえたりっていう以外は、暫定球を打つことができるようになりました。
これで古からのあやふやな問題は一件落着。競技に出場している方は要暗記で実質1打の得ですね。
ちなみに上記ケースで、ペナルティーエリアからの救済で「打ち直し」を選択した場合、暫定的に打った球(暫定球)を援用することは不可です。
すなわち暫定球がフェアウェイのベストポジションにあるから、コレを「池処置の打ち直し」の球としてプレーすることはできないということです。
改めてティーイングエリアに戻って、打ち直さなければなりませんので注意が必要です。もし、コレをプレーした場合は、誤球で2ペナ。
次のホールでインプレーに(最終ホールの場合はスコアカードを提出)する前に誤りを訂正しなければ、失格になってしまいます(規則6.3c)。
そしてこれからは「ペナルティーエリアに入ったかもしれないが、コース上で紛失している可能性があるので」と言って、堂々と暫定球を打ちましょう。